その年の5月の上旬、僕は才介に連れられて、東京郊外の或る寺で行われる市(いち)に参加していた。ここは、俗に「禿寺(はげでら)市」と呼ばれている。「何で禿寺なの?」僕の質問に、「住職が禿だからだ」と才介。「だって、普通住職は禿だろ?」さらなる素朴…
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